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死地を越えよ

22歳くらい

『明るい夜に出かけて』、再会の感動

読書

佐藤多佳子さんの『明るい夜に出かけて』を読んだ。

 

私は小中学生のころ佐藤多佳子の本を読みまくっていた。佐藤多佳子といえば、本屋大賞を受賞して大ベストセラーになった『一瞬の風になれ』が有名。それも勿論大好きだが、佐藤多佳子の中で一番好きなのは『黄色い目の魚』だ。佐藤多佳子の本に限らず、「好きな本は何ですか」と聞かれたら、「『黄色い目の魚』です」と答えるくらい好きだ。主人公の男女が抱えるほの暗い不安や心の闇と青春の甘酸っぱさや爽快さの両方が心地よく織り交ぜられていて、当時からずっと心の中に居続けるお話だ。

 

と、ずっと佐藤多佳子の作品を追っていたのだが、大学生になりいつのまにかそういう‟ザ・青春小説”みたいな(ヤングアダルトっていうのかな?)ものからは離れていた。そんな折、ツイッターを見てみると、佐藤多佳子の『明るい夜に出かけて』が話題になっていた。私は芸人のラジオを聴くのが大好きなので、そういう類のツイートをチェックしているのだが、どうやら『明るい夜に出かけて』はラジオリスナーの話らしい。さらに調べていくと、佐藤多佳子がラジオのヘビーリスナーらしく、単にラジオをモチーフとした物語ではなく、実在するアルピーANNをメインに書いているらしいことがわかった。

 

すごく感動してしまった。私が青春時代に何度も読み、自分の根っこみたいなものを作ったあの本たちを書いた著者が、今、私と同じような感性を持って、私と同じように芸人の深夜ラジオを面白いと思って聴いている。すごく感動した。嬉しかった。会ったこともないけど、久しぶりに再会できた気分。運命の人に巡り合った気分。

 

早速買って読んでみた。読み始めて、やっぱり中高生のころの自分と今の自分は違って、なんとなく胸の熱くなり方が違うなって、まず思った。面白いんだけど、冷静に俯瞰してる自分もいる、そんな読み方になったなって思った。

ところが、そんな感じで読み進めていったら、結局、佐藤多佳子ワールドにどっぷり引き込まれていった。最初に思ったことなんて後半には微塵もなくなってしまった。再会したものの佐藤多佳子さんとの距離開いちゃったな~と思っていたのに、読んだらばっちりまた近づいてしまった。「コレコレー!!佐藤多佳子らしさ~、一瞬の風になれらしさ~」みたいな。ギュンと昔に引き戻された。

 

帯に書いてあった

夜の中で彼らは出会う、知らないのに知ってる奴、遠いようで近い人。

 って私のことなんじゃないかなって思う。全国のラジオリスナー、読者が皆そう思っているのかな。

 

私が一番好きな、有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMERが38頁にちょっと載ってて、でも、番組名とか詳細は書いてなかった。これは、有吉ラジオが「名前を言ってはいけないあのラジオ」だからなのかな

 

最後に私のお気に入りを書くよ。

115頁「そんな優しいこと言ってると、君の人生は簡単に侵略されてしまうよ」

145頁「あーあ、人間って面倒くせえな。俺は人間をやりたくないよ。猫にでもなって、冷たいタイルの床の上で丸まって寝てたいよ。ほかのヤツのこととか、あれこれ考えたくない。疲れるから。削られるから。最後は自分に返ってくるし。一番考えたくないのは、俺自身のことだから。」

163頁「そもそも、前向きって、普通に思われてるほど、絶対的にいいことかな?」

 

ああやっぱり良い本だな。好きだな。

本もラジオも大好きだな。

明るい夜に出かけて

明るい夜に出かけて

 

 以上